30年前、地方には活気がありました。
駅前には本屋と喫茶店。
商店街には八百屋、魚屋、電気屋が並び、
繁華街には人があふれ、
カラオケやファミレスには行列ができていました。
夏祭りの夜は、出店と人波で通りが埋まり、
まちには笑い声と、あたたかい灯りがありました。
あの頃は、「ここで暮らしていける」という実感がありました。
そして、“リニア新幹線がこの町に来るかもしれない”
そんな話に胸が高鳴った時代もありました。
けれど、20年ほど前から、
少しずつ、けれど確実に、変化が始まりました。
人口が減り、学校が統廃合され、
店が閉じ、子どもの声が聞こえなくなった。
「気づいたら静かになっていた」──そんなまちが、全国に広がっていきました。
それでも私たちは、努力してきました。
祭りを守り、商店街をつなぎ、移住者を呼び込もうとした。
新しい特産品をつくり、イベントを企画し、
「なんとかしよう」と歯を食いしばってきました。
「時代のせいかもしれない」
そう自分に言い聞かせながらも、あきらめなかった。
でも、いま思うのです。
あれは本当に“時代のせい”だったのか。
それとも、どこかで“政治のかたち”を間違えたのではないか。
もう一度、思い出したい。
そして、取り戻せる道を考えたい。